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千歳船橋1号~9号踏切
地図
OpenStreetMapで千歳船橋駅〜祖師ヶ谷大蔵駅間を見る。
両駅のちょうど中間地点あたりを環状8号線が南北に通っているが、その開通に合わせてこの区間は1971年には高架化が完了しており、「世田谷区における公共交通について」(世田谷区道路・交通計画部交通政策課による、2022)によればその時踏切は6ヶ所廃止されている。
千歳船橋1号踏切は複々線化まで残っていたので、高架化前に廃止されていたのは千歳船橋2号踏切と7号踏切であったと思われる。
稲荷森稲荷神社
まずは千歳船橋駅南側にある稲荷森稲荷神社に寄っておこう。昭和20年代まで境内は稲荷森(とうかんもり)と呼ばれた鬱蒼とした森だったという。またここにはかつて湧水池があったというが、すぐ近くにある烏山川の支流に流れていったのかもしれない。
ここからの写真は2024/8/2撮影。
菅刈橋跡
稲荷神社から東に進んだところには烏山川支流の水路敷があり、そのかたわらに菅刈(すげかり)橋跡の看板がある。
菅刈は現在では目黒区に残っている地名で、古代は世田谷区東側も含め菅苅庄(すげかりのしょう)と呼ばれていたとされるのだが、実のところ文献としてはほとんどが江戸時代のもので一番古いものでも天正年間(1573〜93年)ということで、古代地名としての菅刈(菅苅)については実在を疑う意見もあるようだ。
船1
さて、ここからは小田急小田原線に沿って踏切跡を探していく。現在の千歳船橋駅は高架化以前と比べるとかなり西側に寄っているが、改札の位置はほとんど同じで写真のあたりには千歳船橋1号踏切があった。
1971年に祖師ヶ谷大蔵駅までの間が高架化された際は、地上線の南側に高架線を作ったためこの踏切を過ぎてからの線路は大きくカーブしながら高架へ駆け上っていく形になっていた。
この写真は2024/7/18撮影。
船2
駅北側から森繁通り(駅から北へ向かうと森繁久彌旧宅がある)を通って千歳通り(旧品川用水)へ向かって線路を振り返ったところ。写真手前で右へ曲がる千歳通りとは別に、写真を直進したところに千歳船橋2号踏切があった。
千歳船橋3号踏切が近かったことから、この踏切は高架化以前に廃止されている。
この写真は2024/8/2撮影。
船3
千歳通りが小田急小田原線をくぐるところが千歳船橋3号踏切の跡。道路が狭いため千歳船橋駅前にバスは入れず、千歳船橋駅のバス停は写真奥、線路北側で千歳通りが左に曲がったところにある。
ここからの写真は2024/7/18撮影。
船4
環状8号線東側にある千歳船橋4号踏切跡。
新旧
踏切跡の道路から高架を見上げてみる。写真左側の下り線が昭和46年(1971年)のもの、右側の上り線は平成16年(2004年)のものでその間33年も差がある。下り線がは途中で耐震補強されている。
環八
環状8号線をまたぐ架道橋を北側から見たところ。ここに踏切はなく、完成前の環八は線路に突き当たっていた。
船5
環八西側の千歳船橋5号踏切跡。南側から見ると下り線の高架側壁も補強されているのがわかる。
船6
千歳船橋6号踏切は都道428号高円寺砧浄水場線(いわゆる荒玉水道道路)が小田急を渡っていたところにあった。
蓋暗渠
小田急線の南側を並走する城山通りには、水道道路から西側の谷戸川まで大きな蓋暗渠があった。
船7
城山通り北側にある山野公園東側の道路あたりに千歳船橋7号踏切があったが、城山通りができる前は写真右側のビルあたりを道路と谷戸川の分流が通っていて、写真右から線路を斜めに左へ渡っていた。
城山通りは昭和35年(1960年)頃には山野公園の前まで開通し、踏切も現在道路がある位置に付け替えられたようだ。しかし、その後長らく城山通りの祖師ヶ谷大蔵方向への延伸が進まず延伸後も途中に未買収地があるなどバスが入れなかったため、写真右側のビルの位置に「祖師谷大蔵」バス停(その後「祖師ヶ谷折返所」と改称)とバス折返所があってバスはこの交差点で引き返す形になっていた。
船8
城山通りができる前からこちらも線路を斜めに渡っていた千歳船橋8号踏切の跡。現在は高架下部分の道幅が拡張されているが、南北の道路は狭いままだ。
昭和59年
国土地理院Webサイトから昭和59年(1984年)空中写真(国土地理院撮影)
城山通りはほとんど完成しているが、祖師ヶ谷大蔵駅バス停はまだ完成していない。この写真ではわかりにくいが、バス折返所から駅バス停までの間には未買収地が残っていた。小田急線のほうは祖師ヶ谷大蔵駅東側で線路が南に曲がって高架に上っていく様子がわかる。
船9
千歳船橋9号踏切は高架下が現在保育園となっている場所にあったと思われる。
ここからの写真は2024/8/5撮影。
祖師ヶ谷大蔵駅バス停
祖師ヶ谷大蔵駅バス停。小田急バスが運行している「せたがやくるりん」は北口のバスロータリーから発着しているが、東急バスが運行する渋23系統、用01系統は城山通りに作られたバスロータリーを使っている。改札口の目の前ではないが、以前の折返所に比べればかなり駅に近くなった。
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